教室にいた全員が作業の手をとめて、私の躍りを見つめている。
教室の出入口にも、人が集まりみんなが私の躍りに見いっている。

虎太朗を探すと、教室の一番後ろで壁によりかかり腕を組んでたっていた。
私と目があうと虎太朗は優しい目で見つめ微笑んでくれた。

瞬間、私の鼓動が早くなり、体中
熱くなるのがわかる。

思わず目をそらし、躍りに集中する。


曲が終わると教室中響き渡る拍手につつまれ、虎太朗の姿が消えていた。

「葵、素敵!!!」

「すごい!河野さん、感動だよ!」

みんなが口々に誉めながら、私のまわりに集まってくる。

キョロキョロする私に気がついた倉田くんが側に来てこそりと教えてくれた。

「コタなら廊下。真っ赤な顔して照れてるよ(笑) 河野さんが可愛すぎて直視できないみたいだよ?」

上履きを履いてそっと廊下を覗き見ると虎太朗とばっちり目があってしまった。

虎太朗は私の手を掴むと、黙って屋上へ続く階段を登り始めた。