私の視線に気がつくと

「これ、葵が作ったんだろ?」

「うん。」
「もったいなくて食べれない…」
「え?またいつでも作るよ?見た目愛可愛いし美味しいから早く食べてみて」

「まじ!いつでも作ってくれるの!?男バスに差し入れしてよ河野さん!」
近くにいた倉田くんが私たちの会話に加わり、目をキラキラさせていた。

「差し入れならいつもマドンナがしてるじゃん!」

七海の言葉に倉田くんがため息をつき、虎太朗をキッと睨んで指差した。

「こいつ!せぇぇーっかく!マドンナが差し入れ持ってきたのにひっどいこと言って突き返したんだぜ!ほんと、悪魔だゎコタは。」
「なになに?あのマドンナになにいったの?」

「昨日だか今朝作ったんだかわからないけど、こんな夕方に貰ってお腹壊したらどうすんの?差し入れならさ、買ったものなら受けとるけど手作りはいらないから。って冷たくいいやがったんだ!マドンナに!」

「いーじゃんべつに。マドンナだかなんだか知らないけど俺、葵以外興味ないし。葵以外の手作りなんて口にしたくないし。そもそも葵以下の手作りなんて問題外だし」

「ヤバイくらい葵一筋なんだね晒名くんって。
いやーうらやましいゎ。そのブレなさ」

クラス中うんうんと亜沙美の言葉にうなずいている。

「…なのにアイツ毎日のようにお菓子だの飲み物だの持ってきてマジうざい…」

「くーっ!顔がいいのは認める!なんでこんな性格に問題ありのこいつがもてるんだ!!」

倉田の絶叫がクラス中に響き渡った。