「だから、待てなくて俺が男の子になったんだけど。こっちゃんはよくあおちゃんのケーキ屋さんのあまーい香りが大好きで、あおちゃんに抱きついて匂いかいで、ほっぺをペロってしてたと思うけど?」

くすくす笑う虎太朗の笑顔が、だんだんと遠い記憶のこっちゃんに重なる。

「さすがにこの歳でほっぺはまずいでしょ?葵にひっぱたかれたくないし。」

「手も一緒だから!」

「ダメだよ。それは譲れない。葵は俺のだから」

熱のある瞳に見つめられ、私の心臓はびっくりするくらい騒がしい。