言葉を失い、黙ってしまっていた女子たちの中から飛び出し、一人の女子(リボンの色からして三年生)が声をあげた。


「エリ、やめなよ」
「うるさいっ!」


エリと呼ばれたその先輩は「一月様がそんな地味で名前も知らないような一年と付き合うわけない! これは嘘よ! 一月様が脅されて無理やりその子に言わされてるだけだわ!」とヒステリックに叫ぶ。


「は? 何言ってんのおまえ? 脅されてるとかありえねぇし」と一月君は首をかしげる。


……たしかに、脅されてるのはむしろ私の方だ。


「じゃあ証拠! 証拠を見せてよ!!」


「証拠?」


「なんでもいいから! 告白したメールとか、手紙とか! とにかく証拠がないなら私、納得しないからねっ!」


そんなこと言われても困るよっ!


「いいぜ。見せてやるよ」