学校へ向かいながら一月君が話す。


その間も、手は恋人つなぎでつながれたままだ。


「一月君、ファンの子多いからね。学校の王子様って呼ばれるくらいモテてるわけだし」


「でもいい加減、
執着されるのにもうんざりなんだよ」


「それで、私が彼女の“ふり”を?」


「あいつらも彼女がいるなら今ほど執着しねぇだろうからな。もちろん、希望に何か手出しはしないように手は打つから」


「ふーん」
「なんだよ? 何か不満か?」
「別に…」


とは言ったものの、なんだか心に黒いモヤモヤが立ち込めてくる。


なんだろう? この気持ち?


彼女のふりって言葉の“ふり”ってところが、今の私にはなぜか引っかかってしまう。