「今日のお昼のお弁当! 昨日の夜、一月君が出かけている間に作っておいたの!」
私は一月君にお弁当を渡した。
一月君はにこっとする。
「ありがと。希望。昼にも希望の料理が食えるなんて、ほんと、今日は最高の日だ」
一月君はお弁当を鞄に入れる。
食べた感想、聞かせてほしいな!
「じゃあ一月君。先に学校へ行ってて」
「え? なんで?」
「だって、一月君と一緒に登校してるところなんて見られたら、他の子が嫉妬しちゃうかもしれないし」
冷徹王子こと一月君には学校中にたくさんのファンがいる。
その中には一月君と仲良さそうに話したり、一月君に優しくされたりするだけで、ムカつくという理由でイジメの標的にしてしまうような過激な人達もいる。
そんな人達に同居のことや、今の私と一月君の関係を知られるのはかなり危険なことだ。
「なんだ。そんなことか…」
と一月君は私の手を握る。
「関係ねぇよ。希望以外の奴なんて」



