「いやに決まってるでしょ。
あなたみたいなチンパンジー


さっさと私の視界から消えて、
二度と入ってこないでもらえる?」


志芳ちゃんの一言に教室は凍りついた。


「えっと……俺、マジでおまえのこと愛してるっていうか…「はぁ?」


志芳ちゃんがにらむ。


「あなたの愛なんて、私にとってはこの文庫本一冊の価値もないわ。まして付き合えとか? ……ふっ、彼女がほしいのなら、動物園でメスのオランウータンでも口説いてみたら?」


「オ、オラン…………」


チャイムがなった。朝一番、学年いちのモテ男がふられる様を見たみんなは満足げに席へ戻っていく。


「あちゃー…」


残酷というか、
今まで見た中で一番ひどいふり方だ。


当然、金本君はカンカンに怒った。


「志芳っ! これで済むと思うなよ! 絶対にテメェの体は俺のものにしてやるからなっ!」


そんな金本君の捨て台詞を(てか体って?)志芳ちゃんはまた鼻で笑い、読書を続けた。


私も席に戻ろうとしたとき「ねぇ、希望。そういえば一月と会ったの…?」と志芳ちゃんは言った。