蓮はバイクから降り、俺に近づく。


「事情は志芳ちゃん達から聞いたよ。どうやら希望ちゃん、二人には海外へ行くことを話していたみたいだからね」


「なんだと?」


志芳も知ってたのか?
くそっ、だったら俺にも言えよ!


「希望ちゃんはお父さんのためを思って海外へ行くことを決めたみたいだよ。希望ちゃんのお父さん、ああ見えて妻が死んで相当、精神的にまいっていたみたいだし」


つまり、希望は弱ってる父親の気持ちをくんで、父親を支えるために海外へ行くことを決めたのか?


……いや、でも多分、
それだけが理由じゃないはず。


「おまえは何しに来たんだよ?
必死になってる俺をバカにしに来たのか?」


「いや。ただ宣戦布告に来たんだ。僕は希望ちゃんをまだ諦めていないって」


「なに?」


蓮は俺にバイクの鍵を投げた。


「それで空港に向かいなよ。今の希望ちゃんを止められるのは一月しかいない」