男に見放され、お母さんは唇を震わせて、目を大きく見開いた。


「ああ、なんでいつも……神様は私の願いをきいてくれないのだろう…?」


そう言うと、お母さんは目を閉じてぐったりとした。


三秒くらい、私は魂が抜けたように頭が真っ白になり、動けなかった。


「そうだ。救急車を…」


ハッとして、私は救急車を呼んだ。


しかし、そのときにはすでに手遅れだった。


救急車が到着する5分以上前に、お母さんは私の腕の中で、息を引き取っていたからだ。