気がつくと私は、
家へ向かって走っていた。


今でもお母さんのことを許したわけじゃない。


だけど助けを求められているのに、放っておくわけにもいかなかった。


「お母さんっ!」


家の扉を開くと、
ツーンとした悪臭が立ち込めていた。


思わず鼻をふさぐ。


奥から、誰かのうめき声が聞こえてくる。


私は恐る恐る進む。


臭いはさらにきつくなる。


お風呂場からだ。


扉を開く。


するとそこには、パジャマ姿で血まみれのお母さんが倒れていた。