「バカな。僕の洗脳は完璧のはず。特に僕の思い通りにならない女が、この世界にいるわけ…」


「いるのよ。ここに」


志芳ちゃんは愛子ちゃんの頭をなでる。


「自己愛が強すぎるタイプの愛子は他人に支配される気がまったくないから洗脳はきかないわ」


「じゃあ、さっき愛子ちゃんが言ったのも…」と私。


「もちろん嘘! 愛子は志芳や希望と一緒にいるときが一番楽しいしね! みんなと一緒にいられなくなるくらいなら、愛子、キラキラの青春も、イケメンの男子もいらないも~んだ!」


「愛子ちゃん…」


うれしくて涙が出そうになる。


愛子ちゃんを疑った自分が恥ずかしいくらいだ。


「愛子は蓮のふところに飛び込み、信頼を得た。そうして希望を盗撮した犯人や共犯者、そして、動画のデータを持っている相手を全員、割り出したの。怪しまれないように、自分で盗撮までしてね」


そう言い、志芳ちゃんは何本かのUSBを取り出し、地面に落とし、足で砕いた。


「準備にかなりてこずったけれど、希望と一月がうまく蓮の注意をひいてくれていたおかげでうまくいったわ。


……これで希望の動画は永遠に葬られた」