最初、僕は希望に僕のことを思い出してもらおうと思った。


だけど医者によると、希望は事件のことを、そして、僕のことを思い出すだけで、暴力を受けたトラウマを鮮明に思い出してしまう危険があった。


まだ幼かった希望がそのトラウマを思い出すことは、希望の心を壊してしまうことになりかねない。


……そこで僕は自分の意思で、
希望の側を離れることに決めた。


そして、希望の両親や他の大人達にも口裏を合わせ、そもそも僕と言う人間が希望と一緒にいた事実も全てなかったことにした。


……ここまでしたのも、全ては希望を守るためだ。


僕は希望のいる町を引っ越すことにした。


だけど、そのとき、僕はひそかに、もうひとつの決心をした。