しばらく沈黙が流れた。 時間だけが過ぎていく。 そのとき、家の奥で、ガシャン、という音がした。 気になって見に行くと、廊下から、ひとつのバスケットボールが、一月君の足元に転がってきた。 「この家のボールかな?」と私。 一月君はボールをとる。 「これだ。これしかない…」 一月君の目が輝く。 「何か思いついたの?」 私が訊く。 「暴力がダメなら、これしかない。蓮なら必ず、のってくるはずだ」 ……それは一月君の、いや、冷徹王子の、胸をえぐるような決心だった。