「どうしたんだよ希望?
誰からだ? その電話?」と一月君。


一瞬、言おうと思ったけれど、


「ううん。なんでもない」
「そっか? じゃあもう行こうぜ」


バイクは山を降り、私達の町へと帰っていく。


この日は、
一月君と恋人になれた大切な日。


だけど同時に、この日を境に、私の思い出の中で生きる銀髪の男の子の“狂愛”が、私に迫っていようとは、まだ、知るよしもなかった……。