「勘だよ。勘。このリボンでおまえが何かに巻き込まれたのは察しがついたしな」


一月君はリボンを私に返す。


「ありがと。助けにきてくれて」


「いいって。それより、ここからの峠はもっとスピードあげるからな。しっかりつかまってろよ」


「うん!」と返事し、私はギュッと一月君のお腹に手をまわす。


バイクは私達の町から遠く離れた山の中に入った。細い山道を走り抜け、一時間くらいで頂上に到達する。


その頃には、
辺りはすっかり暗くなっていた。


「希望。空を見てみろよ」
「空?」


バイクに乗っているときは下の方ばかり見ていた目線を、このとき初めて上に向けた。