エリさんは何かにつまずいて転げ落ちた。


「大丈夫?」と蓮君は笑顔で問いかける。


するとエリはガタガタと震え出し、すぐに立ち上がって、逃げるように立ち去った。


……見間違い……だよね?


今、蓮君がすれ違いざまに、
エリさんの足を引っかけた気がした。


「物騒な事件もあるもんだね。でも大丈夫。希望ちゃんは僕が守るから」


蓮君はそう言って、私の肩を抱く。


そのとき昇降口が見え、私は今日、一月君とした服従ゲームの命令を思い出した。


「蓮君、ごめん。先に教室へ戻ってて」


「ん? どうして?」


「私ちょっと、用事を思い出して」


そんな感じで誤魔化すと、私は蓮君と離れ、昇降口から校門へと向かった。


ちょうどそのとき、
五時間目を告げるチャイムが鳴った。