「そのままグーは維持してね。そして僕が希望ちゃんの手を三回叩いたら、ブルーベリー、ブルーベリー、ブルーベリーって、三回呪文を唱えてみて」


「え?」


蓮君は私の手を三回叩く。


「ほら、呪文を」


「あっ、えっと、ブルーベリー、ブルーベリー、ブルーベリー」


唱え終わると、不思議なことに、さっきまで何もなかったはずの拳の中に、何かを握っているような感触がした。


「開いてみて」と蓮君。


拳を開くと、そこには、ピンク色のの髪飾りがあった。


「うわぁ、可愛い」


「これ、希望ちゃんへのプレゼント」


「えっ、いいの?」


蓮君はこくりとうなずく。


「こんな風に、僕は希望ちゃんを笑顔にする魔法をたくさん知ってるんだ。だから一月と違って、絶対に希望ちゃんを悲しませるようなことはしない」


蓮君は私の肩を握ると、唇を近づけた。


「だからもう、一月のことなんか忘れてさ……僕に決めちゃいなよ」