バスケは大好きなのに、
一月君は人を信頼できなくなってしまった。


それが原因で、一月君の体は、誰かとバスケをすることを拒否し、ジストニアを発症してしまった。


……そしてそれが、
一月君の人生を変えてしまった。


一月君が誰とも関わりをもたない、孤高な“冷徹王子”となってしまったのも、根本には、裏切られたことのトラウマや、人に対する失望があるんだ。


「一月君…」


背中を向けていた私は、
思わず一月君の方を向こうとする。


「見るなよ」と一月君が言う。