一月君は甘えた声で言う。


昼間の意地悪で、サドな感じとは正反対の声だ。


「また抱き枕にする気?」


キリンのクラリスの代わりに?


「そうじゃねぇよ。ただほんと、夜になると寂しくなってきて。希望が側にいてくれれば、安心するし…」


弱々しい声。私は思わず「はぁ、しょうがないなぁ」と答えた。


一月君は何も言わずに私のベッドに入る。


そして一月君に背中を向けて横になっていた私を、後ろから抱き締めた。


「前に言ってた体質って?」


「俺、夜になると、不安と寂しさで死にそうになんの。前はこんなことなかったんだけど……妙に誰かに、甘えたくなって」


もぞもぞとベッドの中で動く。


「何か、悩みでもあるの?」
と私がさりげなく訊く。


一月君は私のお腹の辺りに手をまわし、優しく抱き締めた。


「やっぱまだバスケのこと。引きずってんだと思う」