ニコライが話し終わり一礼すると、それを合図に指揮者が指揮棒を振った。穏やかで優しいバイオリンの音が奏でられる。それと一緒に、マイラが大きなトレイを両手に乗せてアルベルティーナとクラウスの前へ。

 トレイの上には、白いバラで作った花冠とコサージュが乗っている。マイラは嬉しさに涙ぐみ、二人を見つめながら膝を着きそれを掲げた。

 二人は向かい合うと、先にクラウスが花冠をアルベルティーナの頭へ乗せ、次にアルベルティーナがクラウスの胸にコサージュを飾る。そしてまた二人が会場へ向き直ると、大きな祝福の拍手が巻き起こった。

 幸せな幸せな、瞬間だった――――