「へぇ…やるじゃん。」

「えっ…」

あっ、あの顔だ…

一瞬驚いたのもつかの間、いつかのあの意地悪な笑顔を浮かべ八神くんが言う。

私…もしかして今、とんでもないことしちゃった?

「そんな可愛いことして知らないよ。」

八神くんのほっそりとした人差し指が私の頬を滑り顎の位置でクッと上向かせる。

八神くんが声を掛けてくれたあの日と同じだ。

「っ…」

整った顔がゆっくりゆっくり近付いてくる。 

「佐奈の方こそ覚悟はいい?今度は手加減しないからーーー」

私は一つ頷くといつもの様にぎゅっと目を瞑ることはなく、ゆっくり閉じる。

と同時に甘い甘いキスが落とされた。

胸がキュンとしてまた八神くんへの好きが増えていく。

毎日、毎日、好きの気持ちが重なっていく。

こうして私はこれからもずっとーーー

目の前の意地悪な神様に恋をする。