毎日、失恋。

「っ…」

唇は一瞬で離れたものの…

動けない。

それよりも…

「ぷはっ!」

息止めてたから…苦しい。

「あのさ、本当に学習能力がないよね、高橋さん。こんな時になんで目、開けてんの?」

目?

開けてるって…

だって…

「えっ、でも…八神くんが…いつ、も…め、目を閉じるなって…怒る、から…」

しどろもどろながらに訴えてみる。

けれどさらに反撃された。

「はぁっ?じゃあさ、聞くけど僕、いつもなんて言ってたか覚えてる?」

なんて?

って…

目を閉じるな、でしょ?

なんてって…

いつも、なんて言ってた?

えっと…

そうだ、思い出した!

ーーー好きな男でもない相手にそんな無防備に目を閉じちゃ駄目でしょ?

て事は…

今、目の前にいる八神くんの事を私は好きな訳で…

「あっ…」

理解したと同時に恥ずかしくなってしまった。

八神くんの手は未だ熱が集まる私の頬に添えられたままだ。

さらに、八神くん…ち、近いよ。

あまりの距離の近さにちゃんと顔を見れなくて思わずギュッと目を閉じた。

するとーーー

「そう、それが正解だね。僕も好きだよーーー佐奈…」

今度はさっきよりも長く唇が重なった。