毎日、失恋。

よく八神くんに連れてこられていたスーパーに急いでやって来た。

特売日らしく店内はそこそこ混んでいる。

入り口から入って野菜コーナーに次はお肉に鮮魚…それからーーー

いた!

卵売り場の所に八神くんがいた!

「八神くんっ!」

大きな声で呼ぶと振り向いた八神くんがきょとんとする。

「高橋さん…?」

幽霊でも見るからのように驚いている八神くんの側まで近付くと、よしっと気合いを入れる。

そして、私は言葉を慎重に選びながら話し始めた。

「八神くんっ、私、八神くんに言いたい事があって…あのね、そのね、私、八神くんとちゃんと向き合えてなかったなって。八神くんはいつだって真正面から私と向き合ってくれてたのに…私は逃げてばかりで。初めて話した日も八神くん私に言ったよね?私なんか…って言うやつキモッて。私ね今なら分かる。そういう事言ってる私、確かにキモかった。独りよがりで自分ばかりが悲劇のヒロインぶってて…だけどね、やっとわかったの。八神くんと離れて気付いたの私ね、八神くんがーーー」

「ストーップ。」

八神くんが私の言葉を遮った。そしてーーー

「んんんんっ…」

八神くんの大きな手で私の口は塞がれた。

「高橋さん…、これ先に買ってからでもいい?それに…ほら。」

言われて八神くんの視線の先を追うと…

買い物途中のお客さんが遠巻きに温かい目で私達を見ていた。

「ウヒャッ!恥ずかしい…」

「ねぇねぇ、ママァ、あのお姉ちゃんとお兄ちゃんチューする?」

どこからともなく小さな声も聞こえてきて…

「えっと…、取り敢えず会計済ませるわ。レジ行ってもい?」

「ああ、は、はい…お願いします。」

これ以上小さくなれないくらい体を縮めてレジへ向かった。