毎日、失恋。

本当の事をって…

言えるわけない。

八神くんを巻き込みたくない。

きっと話してしまえば八神くんの事だから何かしら動くと思う。

それは結局、また私へと返ってきてーーー

同じ事を繰り返す。

結果、それは八神くんを苦しめることになると思うから。

だからこそ、八神くんの優しさに甘えちゃいけない。

「本当の事って、昨日言ったよね?水飲み場の水道が壊れーーー」

「僕は、」

私の言葉を遮って八神くんが言う。

「僕は、高橋さんなら、何かに思い悩む高橋さんだからこそと思って過去の話をした。だからこそ僕の話を聞いた高橋さんも同じ思いから打ち明けてくれたんだって思ってたんだけど。僕の独りよがりだったのかな?」

まだ手はしっかり取られていて振りほどくことも出来ない。

そして、間近に見る八神くんの表情はとても悲しそうだった。

恐ろしく長く感じた時間だった。沈黙を破ったのは八神くんだった。

「…分かった。ごめん、しつこくして。これ、良かったら食べて。じゃ。」

その言葉と同時に私の手から八神くんの温もりが消えていく。

ただ残るのは八神くんが持ってきたビニール袋の重みだけ。

私はその場で八神くんの後ろ姿をただ見送るしか出来なかった。

「ありがとう。」すら言えずに。