毎日、失恋。

「その様子だと聞いたのかな?」

「はい…聞きました。初めてお邪魔した日に。」

「そう、そういう話が出来る人が尊にいて少し安心したわ。あんな事があってから尊は今日まで本当によくやってくれるのよ。」

「はい。そうですよね。」

下の子達の面倒見たり、お母さんの代わりに激安スーパーに行ったり…

「でもね、嬉しい半面、どこか無理してるんじゃないかなって心配になるのよね。」

「無理…ですか?」

確かにお母さんを助けてあげたり、弟達を守らなきゃとかいってたけど…それって無理してるのかなぁ。

お母さんはさらに続ける。

「みんなの為に、いい子でいなきゃって自分の気持ちを抑えて無理してるんじゃないかなって時々思うのよね。」 

無理…してる?

確かにそうかもしれない。

だけど、弟達の居場所にならなきゃって私に話してくれた時の八神くんはとてもいい表情だった。

穏やかな優しい目をしていた。

あの表情を知れば無理してるなんて…やっぱり思わない。

だけどーーーそれだけじゃない。

「大丈夫です。」

「ん?」

「だって八神くん、いい子じゃありませんから。」

「えっ、どういうこと?」

お母さんが興味津々という顔で聞いてくる。

「八神くん、私にはとても意地悪ですから。からかって私の困った顔を見て楽しんでいるんですよ。それもいつも。だから、大丈夫です。無理もしてないし、いい子なんかじゃありません。私が保証します。」

私が言い終わると八神くんのお母さんはキョトンとしていたけど直ぐに大きな声で笑いだした。