毎日、失恋。

「そうだ、家に飯食って帰るって連絡しなよ。グレるのは冗談なんでしょ?それとも僕からしようか?」

とスマホを寄越せと言わんばかりに手をこちらへ差し出してくる。

「いい、大丈夫。自分でするから。」

慌ててお姉ちゃんにメールで伝えた。

それを見届けた八神くんがそっと立ち上がると入り口に近付き今度は部屋のドアを思い切りバンっと開ける。

「君たちが期待する展開にならなくて残念でした。」

と言いながら…

開けたドアの向こうにはーーー

「チッ、兄ちゃんなら押し倒すくらい訳ないだろ?」

と不貞腐れた顔をしながら言うのは確か双子の聡(さとし)くん。

「聡、お兄ちゃんにも押し倒す相手を選ぶ権利はあるからね。」

私よりも人生いや、恋愛経験豊富なんじゃないかと思うくらい落ち着いて話すのは明(めい)ちゃん。

「えっと…」

戸惑っていると

「大丈夫。二人がドアの向こうで盗み聞きしてたのはほんの少し前。だからわざと高橋さんをからかった。こんな風にね。」

と私の耳元に顔を近付けて言う八神くん。

チュッとわざとらしくリップ音を立てて…

「うわっ、兄ちゃんが彼女にチューしたー!」

「へぇ…お兄ちゃんって誰でもいいんだ。もはやボランティア。」

好き勝手に言いながら先に下に降りてく聡&明。

て言うか…

「もぉ、またからかったでしょ!」

「だってあいつら期待してるから少しは応えないとね、頼れる兄貴として。ほら、ご飯もう出来てるよ。行こう。」

少しでも赤くなった顔が収まるよう手で顔を仰ぎながら八神くんの後を追った。