毎日、失恋。

「愛(まな)がお腹にいるって分かってからも母さん無理するから心配でさ。うち、大家族だろ?大きいお腹抱えてわざわざ遠いところの激安スーパーまでいったりさ。見てらんなくて。」

「そうだったんだね。」

「父さんは相変わらず留守がちだし。一番上の僕がやらなきゃね。にしても父さんもたまにしか帰ってこないのによく子供作れるよな。」

八神くんはなんでもない風にさらっと言うけど…

「こ、子供作るって…」

言ってからハッとして一気に熱が頬に集中する。赤くなった顔の事を指摘されたくなくて慌てて続ける。

「だ、だけど、中々できる事じゃないよ。学校の事もあるし、それに…読モもやってるし。」

さっき隅に寄せられた雑誌の山に目が自然と行く。

「ああ…、読モね。辞めたんだ。って言うか契約は来年卒業するまでだけどもうやってない。」

「そうなの?モデルのお仕事続けないの?」

「うん、やりたい事があって大学に進むから。」

これほどパーフェクトな八神くんだからモデルの仕事これからもやると思ってた。

「やりたいことって?」

「昔から建物に興味があってそっち方面に進もうと思って。何れは自分が設計したでっかい建物つくりたい、とか思ってたりする。っていきなりこんな話をされても高橋さん引くよね。」

「引かないっ!ぜんっぜん引かない。お母さんを手伝ってあげたり将来の事をちゃんと考えてたり…八神くんやっぱり偉いよ。」

本当にそう思う。何もかも恵まれてて周りからもチヤホヤされてて何不自由ない毎日を過ごしている人だと思ってたから。

なのにーーー

「偉くなんかないよ。将来の事を真面目に考え始めたのもつい最近のことだし。それに…」

「ん?」

なんか、言いにくい話なのかな?

「僕さ、母さんって呼ぶようになったのも高校生になってからなんだよね。」

「えっ…嘘?そんな風には見えなかったけど。」