毎日、失恋。

「だけど…ちゃんと説得する。」

「説得できるかな…」

「大丈夫、するよ。それにさ、何れは結婚の申込みで挨拶しなきゃなんだし、その前の予行演習と思えばなんてことないよ。」

「結婚！うぎょっ！」

「佐奈…」

そう言ったきり頭を抱え体を曲げ前のめりになる八神くん。

「どうしたの？大丈夫？」

私が顔を覗き込もうとしたらなんと八神くんは涙をこぼして笑っていた。

「うぎょってなんだよ…ああもう、佐奈面白すぎ。毎日、楽しいだろうなぁ、佐奈といると。」

「もぉ…八神くん、笑い過ぎだよ。」

そういいつつも、私も少し想像してみる。

八神くんと毎日、笑いながら生活している姿を。

うん、確かに楽しい。

「実現したら毎朝、佐奈の寝顔が見れる。」

「やだ、それ禁止って言ったじゃん。」

「だーめ。寝顔見るのは彼氏の特権でしょ？」

「もぉ、怒るからね。」

思い切り拗ねた顔するけど…

「分かってないなぁ。」

「へっ？」

次の瞬間にはソファに押し倒されていた。

「そんな顔したって僕を煽るだけなのに…」

「八神くん…」

窓の外から朝日が差し込む中、私達は唇を重ねた。それは一瞬で離れたけれどそのままの状態で八神くんが言う。

「佐奈…、これから毎日、笑って過ごそう。」