毎日、失恋。

「それで話を戻すけど、僕と一緒に暮らす気ない?」

八神くんと一緒に住むことを想像してみる…

「やっぱり無理だよぉ。自分一人の事すら十分に出来ないのに八神くんと暮らすなんて…迷惑掛けるばかりだよ、きっと。」

八神くんはなんでもスマートにこなす。

四六時中、私なんかが側にいたらーーー

「ねぇ、今、私なんかが…とか思わなかった?」

「ひょえっ。バレてる…はい、その通り…思い…ました。」

「プッ、なにそれ。それにひょえってウケるんだけど。あのさ、初めて僕が話しかけた時も意地悪して言ったじゃん。私なんかが…ってウジウジするの気持ち悪いよって。」

ああ…懐かしい。

そうだった。あの時は…そんな意地悪な事を言う八神くんをなんて嫌なやつなんだろうって思ったっけ。

だけどあの頃の私とは違う。

「うん、ごめん。そうだよね。でも一人で住むことで自信をつけたいから。八神くんがいるときっと私、甘えるかもしれない。」

八神くんの事だもん。いつだって私を優先してしまうんじゃないだろうか。そうなると八神くんにかかる負担が大きい。

「ああ、その心配はいらない。」

なのに八神くんからの答えは違った。

「どういう事?」

「つまり、これは同棲じゃない。あくまで共同生活。それぞれがそれぞれの条件の中、役割を決めてそのルールに乗っ取り向上心を高め合いながら生活をする。僕はそう考えている。」

きっぱり言い切る八神くん。