毎日、失恋。

なのに…

「よしっ、ご飯、ご飯。ほら、ちゃんと食べなきゃ元気もでないよ。」

頭をポンポンされたもののそのまま簡単に八神くんの腕から解放される。

あれ?

なんか…今…拒まれた?

う…ん?

でも確かにお腹はペコペコだ。

さっき私がお湯を入れたカップ麺は伸びに伸びまくって食べれそうにない。

私はモヤっとした思いを一旦、胸の奥に押し込んで八神くんが持ってきてくれたご飯を頂くことにした。

「ふう…お腹いっぱい。ご馳走様でした。こんな時にこんなにも美味しいご飯にありつけるなんて思いもしなかったな。」

しかもアロマキャンドルの緩やかな明りがこんな非常時の食事でも素敵な雰囲気を作ってくれる。

「そう?きっと母さんも喜ぶよ。」

優しい笑顔を向けてくれる八神くんはやはりいつも通りだ。

うーん…やっぱりさっきのは気のせいなのかな?

相変わらず外では雨が降っていて…テレビもつかないスマホも充電が足りなくなっちゃうから使えない。ラジオも探さなきゃだし…

ただ薄っすら明りが灯る部屋で雨の音を聞いていた。

「さっきよりは降り方がマシになってきたね。」

八神くんはソファに座らずリビングの窓際に立ちながら雨の降る外をずっと見ている。

時計を見るとそろそろ10時になるところだった。

「そろそろ…寝る?」

時間ももう遅いしそれとなく言うと

「ああ…だね。佐奈、部屋のベッドで寝ておいで。僕はここにいるから心配しなくていいよ。何かあったら直ぐに行ってあげる。」

「えっ…」

私はてっきりこのままリビングでタオルケットを持って来て適当に寝るつもりだった。

なのに…

「ん?やっぱり怖い?じゃあ、寝るまでついててやろうか?」

「…んで?」

「えっ?ごめん、聞こえなかった。なんていったの?」

「なんで…側にいてくれないの?私の事…面倒だと思ってる?」