「うちだけ…?それとも…こういう時ってブレーカーだっけ?それってどこなの?」

どうしよう…

真っ暗だしこんな時どうしたらいいのか頭が回んない。

懐中電灯ってうち、あるのかな?

見たことないし。

ああ、アロマキャンドル?

確か私の部屋に…

「痛っ。」

二階に行こうとしたけど暗くて何かに足をぶつけた。

亡くなったお父さんとお母さんが残してくれた家だけどこんな時は狭いワンルームの方がきっと便利だよね?

少しすると目がなれてきた気がする。

そうだ、帰ってきて直ぐにお風呂場へ行ったから…玄関に鞄置きっぱだ。

中にスマホが…

その時、

どこからともなく着信音が聞こえてきて、その音を頼りに玄関に辿り着く。

思った通り鞄の中でスマホがぼんやり白く光っていた。

「八神くんからだ。」

その表示だけでも心強い。

なのに…

「佐奈、大丈夫か?」

ああ…、こんな時に八神くんの声を聞けるなんてーーー

「うん…大丈夫…じゃないよぉ。」

一気に泣けてきた。