「で、僕にどうしろと?」
学校へ突然やってきた梨杏と校門の前に横付けされた黒塗りのワンボックスカーに乗り込むと直ぐ僕は問いただした。
「どうもこうもないわ。はい、これ、パスポート。着替えなんかは現地で調達すればいい。言っとくけど保護者にも許可貰ってるから。いい?これはビジネスよ。」
相変わらず上からだよね。
「許可って…母さんかよ。はぁ…勘弁してよ。なぁ、普通、こんなことまでする?」
「私が普通の存在じゃない事くらいわかってるでしょ?それに、こうでもしなきゃ実現しないじゃない。」
はあ?なんで梨杏がキレてんの?
「てか、何度も断ったよね?伝わってなかった?」
僕もつい苛立ちを露にする。すると梨杏がーーー
「…じゃなきゃ、」
「ん?」
「尊じゃなきゃ駄目なの!」
そっから先、梨杏は黙ったままだった。
そしてーー
その日の夜には僕はマーライオンと対面していた。



