鞄を取りに誰もいない教室に戻る。

こんな時、仲良しの友達とかがいれば帰りを待っててくれたりするのだろうか?

少し想像してみてはそういうの私には無理だなと首を横に振る。

そもそも女子特有のムレが苦手なんだし。

鞄を手に取るも直ぐに家に帰る気も起こらずそのまま椅子に座って鞄を枕に突っ伏した。

家に帰れば帰ったでお姉ちゃんが私の進路の事で色々と口を出すに違いない。

先生がさっきの事をどこまでお姉ちゃんに話すかは分からないけどどちらにしても私の方が分が悪いのだから、何かしら言われるに違いない。

「あー、もうグレてやろうかなっ!」

つい声に出して叫んだ。

これまで真面目だけが取り柄でやってきたけど、こうなったらグレて成績も落としてしまおうか。

そしたら大学にも行けなくなるだろうし。

家でも学校でも落ち着く場所がない状態からつい普段の私なら言いそうにない、しかも放課後で誰もいないとはいえ学校の教室でこんな事を声に出して叫ぶなんて……

「ふうん、真面目ちゃんもそう言うこと言うんだ。」

その声に振り返ると同じクラスの八神尊(やがみ たける)がいた。