「そんな訳でお姉さんも随分、心配してるから。だからもう一度考え直して欲しい。それにーーー僕もできる限りの協力をしようと思ってるから。佐奈《さな》ちゃんの成績で大学に行かないのは勿体無いよ。」

「先生、お言葉ですが私の価値は私が決めます。何度言われても考えが変わる事はありません。あとーー」

そこまで言うと先生に背中を向けた。そして、

「学校内で馴れ馴れしく呼ぶの止めてください。変な誤解されたくないんで。失礼します。」

先生が背中越しに名前を呼んでたけどバタンっとわざと大きな音を立てて準備室を後にした。

子供丸出しの態度に我ながら呆れる。

だって、こんな形で名前呼びなんて……全然嬉しくない。

「はぁ…」

大きな溜息を吐くと、重い足を引きずりながら鞄が置いたままの教室に向かった。