毎日、失恋。

二兎を追うもの一兎も得ず。

いや、僕は得るよ。

なんてったって八神様だし?

かなり強引ではあったけれど僕は高橋さんを連れていつもの激安スーパーへと向かった。

この際、体裁なんて気にしてられない。それに彼女にはありのままの僕を見て欲しかった。

知っていて欲しかった。

無事に特売品もゲットしてその流れでそのまま家に連れてきたはいいけれど…

やはりチビ達に洗礼を受けるよね。

まぁ、そんな彼女の姿が微笑ましくもあるけれど。

興味津々のチビ達から保護するべく母さんのナイス提案もあり僕の部屋に連れてきたはいいけれど…極端に緊張する高橋さん。

彼女の反応が一々新鮮で益々からかいたくなる。

ふうん、結構、反応いいじゃん。

てか、僕ってこんなにもS体質だっけか?

いや、彼女限定だな。

学校じゃほとんど表情も変わらないし、それにここの所、ずっと眉間にシワ寄せて難しい顔してたから意外にも次々と表情が変わる彼女から目が離せない。

よしよし、ここは一気に甘く攻め落とすか?

いや、絶対にチビ達の邪魔が入るよね?

なんて事を僕が考えているなんて知らない彼女が、落ち着かず彷徨わせた目線の先にあったフォトフレームに注目する。

だよね。

うん、そうだよ。

どう見ても下の階で愛《まな》にミルクをあげている人とは別人だよね。

僕は高橋さんにその経緯《いきさつ》を話すことにした。

だからといって彼女が僕に心を開いてくれるとは思わないけれど、

それでも彼女を僕の知り得ない何かから救い出してあげれるならと…

僕は僕のこれまでの事を彼女に話した。