「なぁハル、クラスにさぁ、可愛いコいた?」

昼休み、部室で弁当をひろげながらさりげなくハルに質問した。
俺はハルを隠れイケメンだと思っている。
教室では休み時間はほぼ机に突っ伏して寝ていて、あまりこいつの顔をみんな拝むことがないはずだが、二重で切れ長の涼しげな目元。
男の俺でも、たまに見せる笑顔に思わず見惚れてしまうくらいこいつはイケメンだ。

「拓也、俺がそれどころじゃないのわかってんだろ?
毎日がいっぱいいっぱいなんだぜ?
すぐにレギュラーに入れられて、先輩や1年からもやっかまれて…フツウに接してくれんのお前ぐらいだし…。まじ、キツいや。そんな余裕ないよ」

「そうだよな」

俺は内心ホッとした。
同じコを好きになんてなりたくなかったし、ハルが本気だしたら俺なんてかなうはずないんだから…。