教えて、世界。【短編】

それでも僕の変わったようで変わらない世界が今日もここにある。

放課後、音楽室でピアノに向かい窓の外に見えるすっかり花びらが散ってしまった桜の木を眺める。

僕の苦手な季節だな。

これから夏に向けて青々と茂る新緑は僕にとっては苦手な色。

褐色系に見えるから。

そんな苦手意識を断ち切るように僕はピアノを奏でる。

ーーー受け入れてんの?

あの時、鈴原が僕に投げかけた言葉はもしかすると自分への問いかけだったのか?

鈴原は自分の置かれた境遇を受け入れきれてなかった?

僕はピアノから手を離すと音楽室から出ていった。