教えて、世界。【短編】

それは今日の昼休みのこと。

僕は完全にわからなくなっていた。

今度の体育祭で使う鉢巻の束を色ごとに分けておいてくれと担任に頼まれていた。

けれど…

何色か混ざっていてわかるものもあればわからないものもあった。

数種類の鉢巻きを分けるのに思った以上に時間が掛かって…そうだった。

鈴原が途中から手伝ってくれたんだっけ。

「昼はありがとう。助かったよ。そうなんだ。僕、色の見え方が人と違ってて、だから見分けにくい色があったりするんだ。」

なるべく声のトーンを変えずになんでもない風を装って言ったけど正直言うと、鈴原の反応が怖かった。

同じ年代の友達にこんなこと話したことがない。

鈴原の反応はーーー「ふうん。」だった。

「えっ、それだけ?」

「えっ、なに?それだけってどういう意味?」

逆に聞き返された。

「いや、だからなんかあるだろ?それってどんな風に見えんの?とかなんでそんな風になったの?とかいつから?生まれつきなのとか…」