「おい、やめろ。サラ、その必要は無い。お前が犠牲になるだけだ。
こんなやつほっとけ」







「そうね。もう二度とあなたに会わない。出所してライブのチケットを取ったとしてもあなただけは1歩も近づかせない」







その場を立ち、ドアノブに手をかけると後ろからは慌ただしく立ち上がる音が聞こえた。





ガラスに思いっ切り手をうちつけ荒々しい声が聞こえる。







「ま、まって!わかった、わかった!。
俺の家の玄関の靴箱の底の板を取ればボイスレコーダーが入ってる。
それを聞けばわかる。」








「嘘じゃないよね」








「当たり前」











30分が過ぎ、男の家に向かう。






なんの保証もないが何故か、犯人がわかる気がする。





待ちきれない思いを胸に電車の外を眺めた。








男の家はサラの自宅付近だった。






オートロックのマンションで家賃は高いはずだ。






大家さんに事情を話し、鍵を開けてもらった。








部屋の中はゴミだらけで、異臭がする。








「くさ!」







「確かに。変な匂いがする……。
それはいいから早く探そ」







どこが靴箱なのかもわからない玄関で、ゴミをかき分けながらボイスレコーダーを探した。






靴箱が見つかり開けると案外わかりやすいところに隠されていた。







「あったよ!」






「ほんと!?」








『あんたがサラを拳銃で撃った人?』






『そうだけど。あんた誰?』









『サラの友達』









『名前は』








『桃子よ?早速本題に入りたいんだけどサラ、またほかの男に媚び売ってるよ』








『サラが?あれだけ忠告したのに……。』









『一週間後。受賞式があるの。そこでサラを襲って欲しいの』









『でも俺はここから出れない。どーすんの』









『それは任せて。警察にお友達がいるから頼んでみる』















「これは、確実な証拠だな」







「うん。時間を見てテレビ局に流す」








「なんで?今流せばいいのに」










「まだ……まだ颯那が起きてない」







「……ごめん」









「証拠は掴んだんだし、帰ろうか」








「そうだな」










駅で2人は別れた。






廉は、家に。サラは、病院に。








病院に着く頃にはあたりは暗くなり、人が少なかった。







くらい気持ちを胸に病室に向かうと中、慌てた看護師が話しかけてきた。








「サ、サラさん!やっと見つけた」







「なんですか?」








「颯那さんが目を覚ましました!」







「!!」







話を聞いた途端、私は走り出した。







この日をいくら待ち続けたか。







確認していないものの涙が溢れてくる。









病室の前に立ち、涙を拭いて一息つく。















「颯那?」







「サラ……久しぶり」








「っ」






サラは、勢いよく颯那に飛びついた。







「良かった。颯那が目覚めなかったら……私耐えられない。」







「俺はサラを置いていかない」









「ほんと?」






「うん。当たり前だろ!」









「約束ね。絶対」






「絶対」







2人はその後も楽しく話続け、仲良く眠りについた。











颯那が意識を取り戻して一週間後、退院することになった。





テレビでもその事が報道され、入口には多くの報道陣らが集まっていた。






それからまた一週間、廉と話し合いボイスレコーダーを警察に提出し記者会見を開くことにした。








「ボイスレコーダー?そんなのあったの?」