「お話中失礼します。アリサさん、最優秀賞受賞おめでとうございます」









「ありがとうございます」








「今のお気持ちはどうですか?」








「そうですね。嬉しい、というきもちしかありません。そして私を支えて下さった皆さんに感謝します」







「次の目標はなんでしょうか?」








「そうですね。今まで以上に皆さんにいい歌を届けるのと、事務所の後輩の育成に力を入れて行きたいです」









「そうですか。颯那さんはどうですか?」









「自分は少しずつアイドル活動を増やしていきたいですね」







「そうですか!これからの活躍が楽しみです」










インタビューを受けている最中に、憎しみの目線が送られていることに気づいた人はいない。



その目線を送っていたのは桃子だ。








桃子は、この日を待っていた。







自分から仕事を奪い、地獄へと突き落としたサラを…………。










殺すことを。



















歓声が観客から聞こえていたはずなのに、だんだん悲鳴のような声が聞こえてきた。







誰もが、その場に立ち止まり悲鳴が聞こえるほうを向く。







サラと、颯那もそうだった。








観客の中から出てきたのは、あの男だった。









私を拳銃で撃ったあの男。






「なんで……?け、いむしょじゃ?」











黒い帽子に黒いパーカー、黒いスニーカーに不気味な笑顔。







あの時の光景が蘇る。







足がすくみ動けない。








男がナイフを持っているのを知っていても。








10メートル。









8メートル。








5メートル。








3メートル。








1メートル。











目の前には赤い血が弾け飛んだ。








あの時のように、またやられたんだ。






そうおもったが痛みがない。








下を見てみると血だらけの、颯那が倒れていた。









男は愉快そうな顔から、怒りの顔に変わっていく。








「なんで、お前が来るんだ!!お、俺のサラが!!」









「きゃーーーーーーーー」








私はその場に泣き崩れるしか無かった。






意識がない颯那を抱きしめながらその場に崩れる。







どうしてだろう。






何も悪いことしてないのに。







私だけ。








私に係わった人、皆不幸になる。







それから記憶が全くない。








気づいた時には病院のベットで寝ていた。






あれから犯人は捕まり、颯那は緊急手術が行われたそうだ。








犯人の供述からは、桃子が係わっていたらしい。







謎に包まれる前に自分が解決しないと。







そう思った。









「サラ、サラ!」






「良かった!意識戻った」







「和音、美紅。ごめんね」







「全然、びっくりしたよ。テレビで見てたら急にあんなことが起きるんだもん」







「うん。颯那は?」








「颯那さんは……」