しばらく車が走ったあと、止まったのは寂れた廃墟



…ここに"狼犬"が?



バイクを下りた青い特攻服の男たちが、次々に中に入っていく。



「お二人は絶対にここから出ないでください」



康さんの言葉に頷く私と京子。




車に乗っていてもわかるのだが……
廃墟の中から叫び声、雄叫び、いろんな声が聞こえてくる。



…どうか…みんな無事でありますように……



私には祈ることしかできない。無力な人間だということが痛いほどわかる。






~♪


京子のスマホが鳴り出す。


「はーい」


『あ、京子!悪いんだけどさ、ここの見取り図とかあったら送ってくんない?』



電話越しに倫也の声が聞こえてくる。



「わかった。調べてみる」



そう言って京子は電話を切ると、パソコンをバッグの中から取り出して膝の上に置いて起動させた。



素早くキーボードを打つ京子はとても真剣な表情。たまに自身の赤いメガネをくいっと人差し指であげる姿がとてもかっこいい。



京子はスマホをタップして、電話をする。


『あった?』


倫也の声


「何十年も前のだけど送っといたから見て」


『さんきゅー!』




それだけの会話ですぐに電話を切った京子。










…やっぱりチームワークがすごい