それからしばらく起きていたのだが…
この夜、詩優は帰って来なかった。
ピルルルルルルル、というスマホの着信音で目が覚める。
…電話だ。
スマホの画面には"夜瀬 詩優"と表示されている。
急いで通話ボタンをタップする。
「はい!」
『花莉!!無事か!?』
詩優の焦った声…
「うん」
『良かった…』
ほっとした声に変わる。
『本当にごめんなんだけどさ、今日学校休んで』
「…いいよ」
『ありがとな。これから迎えに行くから待ってて』
と言われて電話は切れた。
…これから迎えに行く?
とりあえず急いで着替えて、支度をした。
すると…
ガッシャーン!
と外から音がした。
…え?
玄関モニターで外の様子を見ると…
『康!今すぐ上まで来て!!』
と詩優の声だけが聞こえて、モニターには何も映っていない。
私は心配になって、外に飛び出した。
部屋の外では…
1人の男がうつ伏せにされて、詩優がその男の上に跨って手を拘束している。
近くにはナイフが落ちていた…
「花莉!危ねぇから中入って」
詩優が私を見る。
こくん、と頷いて中に戻る。
……詩優…ナイフで襲われた…の?怪我はなさそうだったけど…
玄関前でうろうろしていると、康さんと詩優の話声がした。何を言ってるかまでは聞き取れないけど…



