「海斗の言う通り俺には何もねぇし。これと言ってできるのは喧嘩くらいしかねぇけど……
俺は、雷龍のメンバーが信じてくれるから総長で良かったと思うし…"総長"っていう座を今は誰にも絶対譲らねぇくらい大切に思ってる」
詩優は拳銃をおろして、海斗さんに話し続ける。
「海斗が昔、雷龍を大切に思ってくれてること…もちろん知ってた。でも、馬鹿だな…海斗は。本当に。
あんなやり方じゃ周りが耐えられなくなる。俺たちは1人で戦うんじゃなくて、チームとして…"雷龍"として戦ってんのに……
あの時海斗を止められなくて、ごめんな」
海斗さんはしばらく黙ると、
「…そんな言葉が聞きたいわけじゃねぇ」
ほんの少し、優しい声を出す。
「…海斗は俺のこと嫌いって言ったけど、俺は海斗のこといいやつだと思ってた。お前とする喧嘩楽しかったし。まぁ、敵にするには厄介だけどさ」
詩優はそう言ったあと、ぐらりと私に寄りかかる。
「馬鹿詩優」
すぐに竜二さんが詩優を支えてくれる。
「悪ぃな」と言う詩優は顔色が悪い。
…さっきの…今にも倒れそうだったのは演技じゃなかったんだ……



