…これは…なんだろうか。
夢?…そう、きっとこれは夢。




現実でこんなことあるわけない。




夢なら早く覚めろ。




そう思いながら詩優の背中に私も手を回して背中を少しつねってみる。




そしたら詩優は我に返ったように、私の体を離してくれた。




「…ごめん」


「……」




今度は自分の頬を少しつねってみる。
…確かに痛みがあって……もしかしたら、もしかしなくてもこれは夢ではないのかもしれない。





「…転校、俺のせい?」


「……違う……お母さんが…転勤するから……」





「……そっか……ごめんな、今の全部忘れて」





そう言い残してすたすたと歩いて行く詩優。
私は、ただその背中を見ていた。




















どうして私を抱きしめたりなんてしたんだろうか…