ゴンッ!!!!





という鈍い音が聞こえてきて、榊と海斗の方を見ると榊が殴られたあとだった。





「榊!!!!!」


「…いいから行け!!!」





海斗がこっち手を出さないように押さえつけて、俺にそう言う榊。
俺は言われた通り花莉を抱きかかえて部屋をするようとする。





抱きかかえた瞬間、花莉はぎゅっと俺に抱きつた。
ただ声にならない声を出そうとして、ゲホッゴホッと咳をする。





「花莉、ゆっくり息して」





このままじゃ過呼吸になってしまう勢いだ…
「吸って……はいて……」と俺が何回も言うと、花莉が俺に合わせて呼吸してくれて少しずつ呼吸が整ってきて咳が止まる。





海斗が榊を何回も何回も殴っているのが目に入ったが、花莉の安全が最優先のため俺は急いでここを出ようと足早に歩いた。






抗争が始まってから聞こえる雄叫びに花莉は、ぎゅっと俺にしがみついて少し震えていた。