「花莉、ゆっくり息して」




上から降ってくるのは詩優の声。
私を抱きかかえてくれているのは詩優だ…





「吸って……はいて……」




詩優に合わせてゆっくり何回も呼吸すると、咳が止まって上手く呼吸ができるようになった。













詩優がどんどん歩いていくとどこからかたくさんの男たちの雄叫びが聞こえてくる。





私はぎゅっと目を瞑って、ただ詩優にしがみついた。




その雄叫びが遠くなることも近くなることもなくて、私は車に乗せられた。





「…大丈夫。大丈夫だから」




私を落ちつけるために頭を撫でてくれてる。
そのおかげで眠気までやってきた…





「寝てな」




詩優にぎゅっと抱きしめられると、力が全部抜けて……
私は意識を手放した。