諦めかけた時
バンッ!!!!!!
と勢いよく部屋の扉が開く音が聴こえた。
「花莉!!!!!!!!」
聞こえてきたのは大好きな人の声……
それと同時に首から離される手。
私は必死で酸素を求める。
けれど「ゲホッゴホッ」とむせ返ってしまい咳が止まらない。
「海斗…てめぇ……」
今まで聞いたことがないくらい詩優の声が低い。それはきっと怒りのせい…
…拳銃のこと…詩優に伝えなくちゃ…
そう思っても咳のせいで上手く声が出ない。それに涙のせいで視界も定まらない。
「夜瀬!!!花を連れて行け!!!!」
もう1人、聞こえてきたのは冬樹くんの声。
…冬樹…くん?
「…わかった」
詩優の声が聞こえるのと同時に
ゴンッ!!!!
鈍い音が聞こえてきた。
「榊!!!!!」
「…いいから行け!!!」
詩優と冬樹くんの大きな声が聞こえてくるだけで何が起こっているのかわからない。
温かい大きな手で抱きかかえられて、私はただその人に抱きついた。