できるだけ早く部屋に戻ったつもりが、へやの隅っこであの子が足を抱えて座りながら眠っていた。





「無防備」





俺の声はあの子に届くはずもなく、ただ消えていった。















そっと抱きかかえて、客室のベッドに運ぶ。




布団をかぶせてあげたら、ふにゃりと笑ったあの子。




…ごめん。これくらいは許して




そう心の中で謝りながらあの子の頬にキスを1つ。




「おやすみ」




そう小さく言ってから頭を撫でた。



















『初恋は実らない』



なんていうけど…
確かにそう思っていたけど、あの子に触れたらそれは嫌だと思った。












あの子にいつか自分の気持ちを伝えよう。




詩優side.end