「んっ…」
もう何回されたかわからないキス。
"しばらく京子の家に泊まりたい"と伝えた夜、私は詩優の部屋へと来たんだ。そしたらすぐにキスされた。
触れるだけのキス。
たまに頬やおでこにキスしてきて、額をくっつけてじっと私の目を見つめる。
「…顔赤い」
むにっと私の頬を優しく引っ張って「可愛い」と言ってからまた唇にキス。
どんどん体温が上がっていく…
そんな私の反応を見て楽しそうに笑う詩優。
「俺と離れたいと思えないようにしてやろうか?」
ぐいっと私の顎を持ち上げて、顔を近づけてくる。
…離れたいと思ったわけじゃない。
でも私のあの言い方には詩優と離れたいという意味に聞こえてしまうだろう……
「…離れたいと思ったわけじゃないもん」
「じゃあ花莉からキスして」
…!?
少し背伸びをしたら唇が触れそうな距離。
…難しい要求をされたわけではない。
そっと背伸びして、詩優の唇にキスをしようとしたところで
私から顔を離す詩優。
「!?」



