時は夏休み前に遡る__________





「しばらく京子の家に泊まりたい」





私がそう言えば詩優は





「…………やだ」





と悲しそうに言う。捨てられた子犬みたいな表情をするものだから不覚にも胸がキュンと鳴った…





「いいじゃない、詩優。花莉をいつも独占してるんだから。たまには私にも譲ってよね」





助け舟を出してくれる京子。それでもまだ詩優は
納得いかないようで……





「…お願い」





じっと詩優を見つめて言ってみると、ほんの少しだけ頬をあからめる詩優。





「…あー…まじでずりぃ」





と言いながら詩優はガシガシと頭を搔いて、「…いいよ」と許可をくれた。



























私はこの時詩優に嘘をついた。